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和食と文化的景観

「生産と加工を経て食卓へ

 1次加工品が多い」

 

季節ごとに印象的な水田

四方を海に囲まれ、変化に富んだ地形ーーーー 和食は、そんな日本列島で作られた多様な食材に支えられています。

例えば朝食のメニューを考えてみると、ご飯、みそ汁、焼き魚、のり、漬物など。

魚が卵焼きに変ったり、みそ汁の具や漬物の種類など、多少の違いはあるものの、日常的な朝食のメニューだろう。このような農産物が収穫される農地は、人々が丹精込めて耕した文化的景観といえるだろう。

 

例えば、代表的な食料である米。

新幹線で京都から東京に向かうと、琵琶湖の湖東平野には多くの水田が広がる。同じ水田でも季節によって、春の水田に整然と植えられている苗、黄金色に輝く秋の稲穂、刈り取られた後に広がる切り株と孫生などと変化する。

水田は平野だけではない。近世になって山間地にまで広がりを見せるようになった。階段状に造られた棚田が、国の文化的景観に指定されている。

 

伝統的な果物の代表は、ミカン、リンゴ、ナシ、カキ、ブドウなど。

これら身近な果物は、ブドウを除いて、平安時代には出そろっていたことが分かっている。山の斜面に植えられたミカン畑、平地に広がるリンゴ園など、それぞれの産地の景観をなしている。

カキは食材としての他、材木として建具や建材などに、葉は柿の葉寿司の素材に、柿渋は防水・防腐に利用されてきた。食用としてのカキは甘柿だが、渋柿は乾燥させて干し柿にしてきた。

 

塩漬や乾燥などで保存

和食の特徴として、1次加工品の多さが挙げられる。生産された食材そのものを子売りするのではなく、加工した上で運搬し、消費者の手に届けられる。このような加工の現場には、食材生産とは別の独特な景観が広がっている。

簡単な加工としては、塩漬けやアク抜き、乾燥など。塩漬けは世界各地で見られる加工法だ。アク抜きはコンニャクが典型で、調理時のワラビ、タケノコなど。

乾燥は、煮干し、シイタケなどのキノコ類、魚介類の干物、昆布など。

長期保存したり、長距離の輸送のために乾燥させるほか、シイタケや干し物のように乾燥させることで、うま味アップになる食材もある。

 

多種多様な各地の発酵品

もう一つの特徴は、発酵食品の種類が多いことだろう。消費量に関しては、もっと多い国もあるかもしれない。しかし、種類の多さが和食の特徴になっている。

発酵の代表は酒だろう。主食である米を発酵させたもの。麹と良質の水が必要で、

灘(兵庫)・伏見(京都)・西条(広島)などには、多数の酒蔵が残り、伝統的な建物を見ることができる。

漬物は、さまざまな野菜類を長期保存するための調理法だ。生や干した野菜をさまざまな調味料に漬け込み、中には発酵させて保存する。スグキ漬け、千枚漬け、柴漬けなど乳酸発酵させた漬物もあり、さまざまな野菜を多種多様な調味料で漬けたものが各地で作られている。

これらの文化的景観は、時代の流れの中で消えていってしまうものも多い。伝統的な和食は、日本人の食生活の変化によって、食べる機会が減ってきている。その結果、食材が消えるとともに、伝統的な景観も姿を消してしまう。

食材を生み出している日本の自然ともに、町中に広がる加工場などの景観の残していきたいと思う。