耳を守ろう! イヤホンで負担増加 1
年代にかかわらず音量に注意を
音の波は耳から入って鼓膜を通り、耳の神経から大脳に伝わります。加齢変化によってその経路が衰え、聞こえにくくなることを「加齢性難聴」といいます。老化現象の一つで、病気ではありません。ただし、聴覚による脳への刺激が減ることで、認知症などを併発する恐れもあるので、必要に応じて補聴器などを使用しましょう。
「難聴」というと、高齢者をイメージしがちですが、耳の不調は年代にかかわらず起こります。
若い人にも増えているのが「音響外傷」です。慢性と急性の2種類があり、慢性音響外傷の一つに、「イヤホン難聴」があります。イヤホンなどを使い大音量の音を長時間聞くことで、徐々に耳の神経に障害が起こり、聞こえにくさや違和感につながるものです。症状がゆっくり進みため気づきにくい上、完治が難しいのが特徴です。
急性音響外傷は、耳の近くでの強大音、事故現場での爆発音などの刺激によって起こる難聴です。早い段階で適切な治療をすれば治すことが可能です。
まずは、自身が難聴かどうか、チェックリストで確認してみましょう。
耳の不調に関するチェックリスト
・ 耳が詰まったような感じがする
・ キーン、ザー、ゴーなど耳鳴りがある
・ 毎日1時間以上、続けてイヤホンやヘッドホンを使用する
・ 周囲がうるさいとイヤホンの音量を上げる
・ 会話の最中にたびたび聞き返す
・ ひそひそ話が聞き取りにくい
・ 高音、低音など特定の音域が聞こえにくい
・ 家族から「テレビやラジオの音が大きい」と言われる
*当てはまる数が多いほど、難聴になっている可能性が高くなります
痛みは体のアラート機能
大きな音に対して、痛みを感じるのは、耳を守るため、人間に備わったアラート機能といえます。イヤホンを使用しているときに、痛みや不快感があれば、耳が危険にさらされている証し。必ず音量を下げましょう。
音量を下げても、長時間、イヤホンを使用することは、耳の健康によくありません。連続1時間を越えないことが大切です。1時間たったらイヤホンを外し、最低5分は耳を休ませてください。
音響機器の選び方次第で、耳への負担も変ってきます。耳の穴にぴったり密着するようなイヤホンや、耳全体を覆うヘッドホンなどは音質が良いですが、それだけ音質が強いので、音量と使用時間には特に注意が必要です。
電車などでは、周囲の騒音があり、つい、音量が上げるがちです。騒音を低減できる「ノイズキャンセリング機能」が付いた物を使ってもよいでしょう。オンラインでの会議や会話など、自宅で使う場合は、骨伝導のイヤホンもオススメ。耳をふさがず、骨を振動させることによって音を伝えるので、耳への刺激を抑えられます。