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漢方診療 1

明治以降、西洋医学を中心に行なわれてきた日本の医療。しかし近年「漢方診療」に対する認識が高まり、現在では健康保険での診療や薬剤処方の幅も広がっています。大学医学部においても伝統的な漢方医学の考え方に基づいた漢方薬の講義が行なわれるようになりました。漢方診療とはどのようなものでしょうか。

 

体に備わった自然治癒力を漢方で補う

本来、人の体には自律神経や免疫、内分泌の働きなどにより自然と治癒に向かうシステムが備わっています。快食・快眠・快便そして日々楽しく生きていれば自然治癒力が強く働きますが、気候の変化や不摂生、仕事や家事などで無理をせざるを得なかったり心身両面でストレスが続いたりすると自然治癒力が発揮されないことがあります。そのような時に、不足している自然治癒力を補い細やかなメンテナンスをしてくれるのが漢方薬です。

検査しても原因不明の症状が続く・酷はないが何となく不調が続く・複数の病態があり多剤服用を余儀なくされる・西洋薬の効果が薄い・副作用などで西洋医学の治療が困難などの症例には漢方薬が向いているといえます。

 

西洋医学と異なる五感を駆使した診療方法

漢方の主な診療方法は、五感を駆使して診察する望診、問診、聞診、切診の四つです。

望診とは顔色や皮膚の色、舌の様子(舌診)などを直に診ること。

聞診とは声の元気さや汗や便の臭いなど聴覚と嗅覚を基にした診察。

問診とは今の症状や治療中の疾患、既往歴、さらに普段の食生活や睡眠、排便の状況、仕事などの生活環境、寒がり・暑がりなど患者さんの体質傾向を聞き出すこと。

切診とは脈や腹部を触診し、抵抗感や圧痛の有無など触覚を用いた診察です。

漢方診療には西洋医学と異なる点が多々あります。西洋医学では症状により診療科目が細かく分かれますが、漢方診療では、患者さんが訴える不調を全身的に診察します。

人の体は当然一人一人異なりますが、漢方では同じ人でもその時々で体の状態が変化し必要とするものが変る点を重視し、同じ病でも異なる病態として診断するのが大きな特徴です。また西洋医学では熱を持つ症状を重視するのに対し、漢方診療は陰陽の陰や寒熱の寒など”冷え”も重視するのが特徴です。体が冷えれば免疫力の低下につながるからです。ただ、緊急処置が必要な病気や切除可能ながん、西洋医学的治療法が確立している病態については基本的に西洋医学的治療を優先したほうが良いと考えます。

漢方専門医は漢方の専門知識だけでなく西洋医学の専門医や認定医の取得も義務付けられており、西洋医学漢方医学の両面から診察しています。