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教養が人間性を育む 2

また、ロシアやドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国などで帝政に幕が引かれ、法や秩序、ヒエラルキーに基づいて世界を築こうとする立場から、生命の尊厳、平等や自由といった価値を重んじる在り方への変化も同時代でした。

後年、広島と長崎に投下された原爆被害の悲惨さを目のあたりにしたこと、末弟が戦死したことが大きな影響を与えたことも想像に難くありません。

 

古典の寓話から

素粒子のことを考えていた博士は、中国の古典「荘子」にある寓話を思い起こしました。ーーー南海の王と北海の王が、中央の王「渾沌」の領土で会った。2人の王は、歓待のお礼に何かしようと相談する。人は目・耳・鼻・口と七つの穴を持っているのに、渾沌の顔は何もない”ずんべらぼう”。そこで毎日一つずつ穴を開けたが、7日したら渾沌は消えてしまった、という話です。

七つの穴を作ることが科学とするなら、それによって渾沌という個性は死んでしまう。科学文明が発達した世界では、善意から発する行動でさえ、結果や影響がすべて望ましいとは限らないーーー。博士はこのような対概念を持った科学者でした。

湯川博士も署名に加わった「ラッセル・アインシュタイン宣言」は呼び掛けています。

人間性を忘れるな」と。現代が求めているのは、人間の幸福のために行動する人であり、厚みのある教養人ではないでしょうか。