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私たちが見ているもの 2

脳の動きに影響を受ける視覚

人生経験や思考を重ね本質を見抜く眼を

見え方に多様性

進化論を提唱したダーウィンは、眼を”完璧にして複雑きわまりない器官”と称しましたが、私もそう思います。例えば、水晶体はカメラのレンズに当たる部分で、遠くや近くを見る際、自然とピントを合わせます。またカメラのフィルムに相当する網膜には、光に反応する視細胞が片目だけで1億個以上存在し、微妙な色の具合や明暗を識別します。視細胞では、赤、緑、青という三つの光を感知できます。これは光の三原色と同じで、それらの光が混ざり合うことで、多彩な色として認識できるのです。この視覚に関して、多くの方が、自分の見えている色と同じ色を、ほかの人も見ていると思っているかもしれません。しかし、研究では、この三つの色の感じ方について、ひとそれぞれ、赤、緑、青の感度に微妙な違いがあることが分かってきました。それぞれの色の感度が変るため、それらが混ざり合ってできた色の感じ方にも当然、違いが生まれてきます。いわば、色覚には多様性があり、その人しか感じられない色の世界を見ているということです。

さらに同じ物を見ても、捉え方が違います。リンゴを見て、おいしそうと思う人もいれば、色鮮やかと感じる人もいます。生産者の苦労に思いをはせる人もいるかもしれません。それは、見る人のそれまでの人生経験が影響しているからです。その上、脳の働きにも影響を受けます。これを実感しやすいのは、だまし絵でしょう。例えば、直線が曲がって見えたり、同じ長さの直線でも置く場所によって違う長さに見えたりすることは、皆が実感できることだと思います。そもそも私たちの眼は脳と密接に結びついています。というのも、眼は細胞分裂の際、脳となっていく細胞から派生して誕生するからです。また、近年の研究では、”私たちは、実際に眼の前に広がる世界とは違う世界を見ているのではないか”ということが指摘され始めています。眼から入った情報は、神経を伝わって脳で認識されますが、この処理が行なわれるまでに、0.1秒ほどの時間がかるのです。わずかな時間と思うかもしれませんが、それでは私たちの生活は成り立ちません。例えばキャッチボールをしようと思っても、認識した時には目の前にあるということが起こり得るのです。しかし実際、私たちは、そうしたことを感じることなくボールを受け止めたり、高速で車を走らせたりすることもできます。