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耳と鼻の持つ可能性 2 

心の変化を察知する嗅覚と聴覚

例えば、食事は風味を重視しますが、嗅覚がなくなってしまえば、感じる味が変わり、味そのものを感じられなくなることもあります。においを感じない景色も、その場にいるのに映像をみているような感覚になるでしょう。実は五感の中で、嗅覚には、ほかの感覚器にはない特徴があります。それは認識された情報が、自律神経の調節を行う視床下部を経由せず、直接、記憶をつかさどる大脳辺縁系に送られることです。皆さんもある香りに触れ、”懐かしい”などと過去の記憶が呼び起こされた経験があると思いますが、そうしたことも、この脳との関係が影響していると考えられています。この大脳辺縁系は本能や情緒とも深くかかわっており、そこで情報が処理される鼻は、周囲の状況を最も直感的につかむ器官であると思います。

次に耳の機能ですが、その主な役割は、空気の振動、つまり「音」を感知することです。耳は三つの部分から成り、外から見える耳、いわゆる普段、私たちが言う耳から鼓膜までは「外耳」と呼ばれ、これは集音の役割があります。そして、鼓膜の内側は「中耳」と呼ばれ、そこにある骨が鼓膜に伝わった空気振動を約30倍に増幅し、さらに内側にある「内耳」と呼ばれる部分につなぎます。内耳には、液体で満たされた蝸牛という部分があり、そこにある毛のような細胞が振動することで電気信号に変換され、その信号が脳に伝わることで私たちは音を認識しています。また、私たちには耳が二つありますが、そこにも大切な意味があります。音の発生場所によって、左と右の耳に入る音のタイミングには、わずかな差が生じます。加えて、左右の耳に入る音の大小を感知することで、その発生源がどこにあるのかを立体的にとらえています。

鼻と耳は、まったく別の機能のように思えますが、共通の特徴があります。それは、においや音を通して「周囲に触れることなく、その状況を認識できる」という点です。これは眼も同じで、「遠隔感覚」と呼ばれます。そのうえで、人間は、この遠隔感覚の中で、鼻よりも耳、そして耳よりも眼で得た情報を優先することが知られています。一説には、私たちは情報の8割以上を視覚に頼っているともいわれますが、眼ではと例えば、壁の向こう側は、回り込まなければ見ることができません。一方、鼻と耳は、たとえ隔てるものがあっても、その先にあるものを感じ取ることができます。この鼻と耳のもつ可能性に目を向けていったとき、これまでと違った世界を感じられるのではないかと思います。