秋の味覚 ”栗”
秋の味覚
栗
貧血予防に役立つ葉酸も豊富。
今ではほとんどの野菜や果物が1年中店頭に並び、食材から季節を感じることが少なくなりました。
その中でも栗は、季節感を味わえる貴重な食材といえるかもしれません。
栗は食べる部分が「種」で、その種を覆っている硬い殻の部分(鬼皮)が「果実」に当たります。
炭水化物が豊富で、ビタミンB1、B2も多く含みます。
これらには、糖の代謝を助ける働きがあるほか、高血圧や動脈硬化に効果があるとされています。
さらには、カリウムや、貧血予防に役立つ葉酸も豊富に含まれています。
また渋皮には、抗酸化作用があるタンニンや食物繊維が多く含まれているので、便秘の解消も期待できます。
選ぶ時には、鬼皮にはりとつやがあり、手に持った時にずっしりと重みを感じるもの、
ふっくらとして丸みのある形のものが良品とされています。
むき栗は、あじが落ちるのが早いので、なるべくすぐに使いきるようにしましょう。
栗の詳細
世界には約12種類が分布している。
初夏に黄白色の花が咲き、球状でいがに包まれた果実がなり、秋成熟すると裂開
して、濃褐色の滑らかでつやのある1~3個の果実が現れる。
日本グリ、中国グリ、ヨーロッパグリ、アメリカグリの4種が世界で栽培されてい
る。
日本グリは日本原産で原生種はシバグリである。
丹波地方で栽培される。
大粒のものを一般に丹波グリという。
品種は、丹沢、伊吹、筑波、銀寄、石槌、赤中などがある。
中国グリは我が国でも輸入しており、中でも天津グリは甘グリで甘みが強く、渋皮が
離れやすいので焼きグリとして親しまれている。
ヨーロッパグリはフランス、イタリア、スペインで広く栽培され、実が大きく、缶詰
焼きグリ、マロングラッセなどに利用される。
アメリカグリは実が中くらいの大きさで、缶詰、菓子材料に加工される。
わが国ではくりご飯、くりきんとん、くり甘煮、マロングラッセ、くりまんじゅう
などに広く使用される。
くりおこわ
クリの入ったおこわ。クリは秋の味覚に欠くことができない。
もち米の3~4割のむきぐりを用意し、水につけてあくを抜く。大きいものはいくつ
かに切りそろえる。もち米を2.5割増の水加減で火にかけ、煮立ったら中火にする。
水分が切れたらクリを加え、せいろうに移して30分ほど蒸す。この方法は米を炊く
ことで水分が均一にいきわたり、粘りが出る前にせいろうに移すため、ふっくりと
したおこわをつくることができる。
くりきんとん
クリの甘露煮をサツマイモの衣で和えたきんとんのこと。
サツマイモの皮をむき、あく抜きした後、ゆでて裏ごしする。黄色く仕上げるため
にクチナシの実を加えて煮ることもある。砂糖を加えて練り、クリの甘露煮を
混ぜ合わせる。
マロングラッセ
クリの砂糖漬け菓子。
形のそろった大粒のクリを砂糖液に何回も漬け込んで作る高級菓子である。
鬼皮をむいたクリを煮て渋抜きし、渋皮をむく。バニラで風味づけした糖度25度
の砂糖液にクリを漬け込み、沸騰させないように加熱する。蒸発分の糖液を補い
ながら、10日間ほどかけて糖度が34~36度くらいになるまで煮詰める。汁気を切り
表面を乾燥させて仕上げる。