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内田康夫 信濃の国殺人事件

この信濃の国殺人事件は、信濃コロンボこと、竹村岩男警部の登場である。

竹村警部は、内田康夫の第1作作品「死者の木霊」で登場し、事件を解決したことから

二階級特進して警部となり、県警本部の捜査1課に所属している。

 

この事件は、長野県歌である「信濃の国」と長野県の分県運動が根底にあり起きた殺人事件である。

 第1の事件の被害者は、長野市の本社のある信州毎朝新聞の編集局次長で、信濃川

 犀川にある水内ダムのダム湖に、死体が浮いていた。疑われたのは、部下の中嶋記者

 である。

 第2の事件の被害者は、塩尻市の会社社長で、岐阜県との県境にある恵那山トンエル

 の近くに遺棄されていた。この事件を竹村警部が担当することになり、飯田署に捜査

 本部が置かれる。

 第3の事件の被害者は、甘利知美で、更埴市八幡の長楽寺境内で発見された。

 第4の事件の4被害者は、平沼武太郎で、木曽の寝覚めノ床付近で転落した可能性が

 ある。

 

  長野県歌 「信濃の国

   1.信濃の国は 十州に

        境連ぬる 国にして

     聳ゆる山は いや高く

        流るる川は いや遠し

     松本 伊那 佐久 善光寺

        四つの平は 肥沃の地

     海こそなけれ 物沢に

        万ず足らはね 事ぞなき

 

   2.四方に聳ゆる 山々は

        御岳 乗鞍 駒ヶ岳

     浅間は殊に  活火山

        いずれも国の 鎮めなり

     流れ淀まず ゆく水は

        北に犀川 千曲川

     南に木曽川  天竜

        これまた国の  固めなり

  3.4.5.6番まである。

 

  その中の4番 歌詞の中に四つの事件の場所が出てくる。

    訪ねまほしき 園原や

    旅の宿りの  寝覚ノ床

    木曽の桟   かけし世も

    心してゆけ  久米路橋

    くる人多き  筑摩の湯

    月の名に立つ 姥捨山

    しるき名所と 風雅士が

    詩歌に詠みてぞ 伝えたる

 

  これを聞いて、竹村警部は事件の解決の出口を見つけることができたのである。

  また、昭和23年に長野県に分県運動の嵐が吹き荒れ、県議会の本会議で審議される

  ことになり、傍聴席は満席で、議場に入りきらない聴衆は議会の外に溢れた。

  議案審議も大詰めを迎えていた、その時、突如、議場の外から腹に響くような

  歌声が聞こえてきた。「信濃の国」の大合唱である。歌声は、傍聴席にも感染し

  係員の制止にもかかわらず、全員が立ち上がり、合唱をした。

  分県問題はなし崩しのように消滅してしまうのである。

 

  このことは、40年近い昔の怨念がいまだに生き続けていて忘れ去ることができず

  に、殺人事件が起きたことで、各方面に衝撃を浴びせたのである。

 

  結論として、「信濃の国」連続殺人事件は、明快な解決がなされないまま、3箇所

  の捜査本部は看板を下ろした。

  竹村警部は,殺人犯として起訴すべき人間は、一人もいなくなったと、重苦しい

  疲労感を覚えるのであった。

 

  内田作品は、浅見光彦信濃コロンボこと竹村岩男警部が主人公の物語でも

  いえることは、過去と現代を結びつけることにより、歴史的な興味もふまえて、

  物語が進んでいるところに、面白さがあると思います。