日本の主な郷土料理15
いずみや
元禄の初め、新居浜の別子銅山の開発にきた住友家が大阪から伝えたもので、住友
家の屋号の泉屋にちなんでこの名があるといわれる。
いわし、あじ、このしろ、イボダイなどを3枚におろして塩で締め、甘酢に漬ける
甘酢で味をつけたおからにアサの味としょうがなどを混ぜ、俵形に握って魚をのせ
る。南予地方では丸すしとも呼ばれ、魚を背開きにして同様に酢じめにし、背中に
おからを詰める。鉢森料理にかかせない料理として親しまれている。
いよさつま
いよさつま汁、さつまともいう。小鯛、メバル、小アジなどの小魚を焼き、焼き麦み
そにすり込み、砂糖、しょうゆ、塩で調味し、こんにゃく、ワケギを入れたみそ汁で
熱い麦飯にかけて食べる。さつま汁の本場は鹿児島県であるが、いよさつまのように
食材、食べ方の異なるものが、広島、香川、大分などにもある。
いよの鯛飯
タイを炊き込んだ飯。だしこんぶを敷き、洗った米を入れ、はらわたとうろこを除い
たタイを姿のままのせ、しょうゆなので味をつけて炊きあげる。炊きあがったらタイ
の骨を取って身をほぐし、飯を混ぜ合わせる。
いぎす豆腐
海藻のイギスを使った豆腐のこと。イギスと生だいず粉を煮溶かし、野菜、エビなど
を加えて冷やし固める。酢みそや三杯酢をかけて食べる。夏に出回る食品で、特に
祭りや盆、法事の行事食として使われる。
どろめのにんにくぬた
ドロメとは、イワシの稚魚のこと。にんにくの葉茎をすり込んだ酢みそをつけて生
のまま食べる。三杯酢をかけたり、卵とじにしたりする。ドロメは鮮度が落ち安い
ので新鮮なものしか用いない。
皿鉢料理
皿鉢と呼ばれる大皿に数種類の料理を多人数分いっしょに盛り込んだ豪快な料理。
皿の大きさは直形40~65㎝くらいで、大きいものになると90~100㎝にも及ぶ。
料理は、生ものと組みものに大別され、生ものはタイの活き作りやカツオのたた
きなど魚介類のさしみを盛り合わせる。
組ものは、すしの盛り合わせ、煮物、焼き物、揚げ物、寄せ物、果物など5~7種
類の料理を盛り合わせる。さらに、ぜんざいやそうめんなどを盛り込むこともあ
る。一皿3人前くらいの割合で盛り合わせ、宴会の規模が大きくなると皿の大きさ
枚数が増す。これらの皿は、物据膳と呼ばれる大ぶりのうるし塗りの台の上にの
せる。宴がが始まると、客は各自好みの料理を自由に取って食べる。
この形式は、昔、大勢の武士が取り分けて食べた戦場料理に由来しているといわ
れる。さあち料理ともいう。
ひっつけ
ひっつけとは、くっつける意で、魚のすり身と他の材料をくっつけた料理の総称
皿鉢料理の組みものに欠かせない料理である。高野豆腐、練りこんにゃく、しいた
け、ハモ、板こんぶ等でエツなどのすり身を挟んだり、巻いたりして形を整え、い
ったん蒸したものを含め煮にする。