日本の郷土料理16
福岡県
水炊き
調味しない湯で煮た鍋料理。広義には湯豆腐、ちり鍋、しゃぶしゃぶなども含まれ
るが、一般的には博多名物として知られる鶏の水炊きをいう。
これは、明治時代、九州縦断鉄道開通により、鹿児島・宮崎の地鶏がこの地に集ま
り、それに中国風の調理法を加味して生まれた鍋物をいう。
若鶏のぶつ切りを煮て、だし(スープ)をとり、ポン酢しょうゆ、アサツキに似た
鴨頭ねぎ、もみじおろしで食べる。残ったスープで季節の野菜を煮て食べ、最後に
もちやうどんを入れたり雑炊にする。
おきゅうと
福岡県の郷土食品。おきうとともいう。博多湾でとれる紅藻類のエゴノリを主に、
イギス、アミクサを混合し、水と酢を加えて煮溶かし、小判形に冷やし固めたと
ころてんの一種である。これを細長く切って削る節、しょうが、すりごまなどを
かけ、しょうゆまたは酢じょうゆで食べる。朝食の副菜として親しまれている。
生おきゅうとを乾燥させた干しおきゅうととは、40~50度Cの温湯に2時間ほど
浸してもどし、同様にして食べる。
鶏肉と野菜の炒め煮。いり鶏ともいう。鶏もも肉または骨つき肉、にんじん、ごぼ
う、れんこん、さといも、たけのこ、しいたけ、こんにゃく、青みにさやいんげん
さやえんどうを用いる。一口大に切った材料を油で炒め、だし、しょうゆ、みりん
で煮汁がなくなるまで煮詰める。煮上がり祭にゆでた青みを散らし、仕上げる。
木の芽、針しょうが、振りゆずなどを天盛りや香りに添える。
筑前炊き、がめ煮とも呼ばれる。古くは鶏肉ではなくスッポンを使ったといわれて
おり、1592年(文禄1年)、朝鮮出兵の豊臣秀吉軍が博多に幕営した折りに、付近
の入り江に多いスッポンをつかまえて野菜と一緒に煮て食べたのが始まりという説
がある。スッポンをこの地方でガメといい、がめ煮の名はそこから起こったものを
という。
しろうお
ハゼ科の海水魚。体は、半透明で細長く、8㎝程度。生きているときは半透明で美
味だが、死ぬとしろくなり急速に味が落ちる。シロウオのおどり食いといい、福岡
市室見川の名物となっている。また、生干しを会わせ酢または大根おろしで食べ、
汁の実にもする。シラウオとは異なる。
しろうおの躍り食い
福岡市の名物料理。シロウオを生きたまま飲み込むもの。2月頃産卵のため室見川
に上がってくるシロウオをとり、大鉢に泳がせて食卓に出す。それを目の細い網
じゃくしですくい、たれにつけて食べる。たれは、ポン酢や二杯酢にウズラの卵を
浮かせたもの。
あぶってかも
福岡市の郷土料理。壱岐、対馬付近の漁場でとれるスズメダイのこと。
沖で塩をして水揚げされたスズメダイをそのまま焼いて食べる。脂肪が多く、うろ
こは少しかたいが、丸のまま骨ごと食べる。こうばしいにおいとほろ苦さが好まれ
る。名の由来は、博多弁の「火にあぶってかもう」からきたとも、あぶって食べれ
ばカモの味がするからともいう。
ぬかみそ炊き
北九州市の郷土料理。よく手入れしたぬかみそを調味料にした煮物。
さば、いわしなど青魚の切り身を酒、しょうゆ等で煮、その中にぬかみそを加えて
焦がさないように火を通す。青魚特有の生臭さがぬかの香りで消され、さっぱりと
した味となる。