日本の主な郷土料理7
・ほうとう かぼちゃ、里芋、大根、人参、ねぎなどありあわせの季節の野菜を入れ
たみそ汁に、手打ちそばの生めん(ほうとう)をゆでずにそのまま入れて煮込ん
だもの。だしは煮干しでとる。
・煮貝
甲府市の名物。
あわびをしょうゆで煮しめたもの。江戸時代末期に沼津港の魚問屋の主人があわ
びをしょうゆで煮て、たるに詰め、馬の背にのせて運んだのが始まりという。
海のない山国の名物が海産物というのも珍しい。
・信玄ずし
ぶどうで作った酢と塩で飯に味をつけ、みそ漬け、うめ干し、干し魚などをのせ
てササの葉をかぶせ、これを重ねておけに詰めたもの。
武田信玄(1521~1573)が川中島の戦いのときに沿道の農家で作らせたと伝え
られている。
・信玄弁当
なつめ形の入れ子弁当。戦国の武将、武田信玄が好んだということから出た名
である。底を飯椀に、ふたを汁椀に、ふたの中に仕組んだ中段の皿に菜を盛る。
軽便な弁当で、料亭などの軽い食事、茶の湯の点心などに用いられている。
昔はタカ狩りの際、携帯用の弁当として使ったので鷹の羽弁当ともいう。
長野県
・おやき
小麦粉をこねて作った皮に季節の野菜のごま和えやみそ和え、漬物、あずきあん
など好みの材料を包み込み、焼いたり、蒸したりしたもの。
皮は小麦粉とそば粉を混ぜ合わせたり、米粉で作ってもよい。
米の収穫が少ない時期のふだんの昼食や間食として作られていた。
・野沢菜漬け
県の北端にある野沢温泉を中心に、県一帯の特産とされる野沢菜を塩漬けに
したもの。県を代表する漬物の一つである。毎年10~11月に収穫した野沢菜
を、開放された戸外の太陽で女性たちがいっせいに洗う、お葉洗いの光景は
野沢温泉の風物詩となっている。12月ごろ食べられる新漬け、2月ごろの
こはく色に漬かったもの、4~5月ごろのべっこう色に漬かった古漬け等、
折々の漬物の味が楽しめる。また、他の材料と取り合わせて油炒め、和え物
にするなど、料理の素材としても利用されている。
・そば
信州は古来そばの名産地として知られ、戸隠、木曽、妙高高原の霧下地帯の
ものは特に優れている。木曽郡大桑村須原の定勝寺にある「定勝寺文書」に
よれば、1574年(天正2年)3月16日仏殿修復の竣工祝いにそば切りを振る
舞ったとあり、そば切りの信州発祥地説を裏づける。
信州にはお煮かけのほか、川上村のはりこし、開田村のすんきそば、飯山市
富倉のヤマゴボウの葉つなぎなど、信州ならではの特徴的なそばの食べかた
がある。