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耳と鼻の持つ可能性 3

あらゆる香りを嗅ぎ分けるーーー私たちの身近な存在で、嗅覚が秀でた動物にイヌがいます。イヌの持つ嗅細胞は人間の40倍ともいわれそのイヌと比べれば、私たちの嗅ぎ分ける力は劣ると思うかもしれません。しかし、アメリカで興味深い実験が行なわれました。それは、ある香りを人に嗅がせ、イヌと同じように地面に鼻を近づけながら香りの跡をたどる実験です。その結果、多くの被験者が正確にたどることができ、中には訓練を繰り返すうち、イヌよりも早くこなせるようになった人もいたというのです。だからといって、イヌよりも嗅覚がいいということにはなりませんが、調香師が1万種類もの香りを嗅ぎ分けるように、私たち一人一人の嗅覚も、訓練することで鋭くなるのです。

国によって食べるものや生活習慣も変りますが、そうした違いが、人それぞれの持つ香りに影響することを感じてきました。実は嗅覚には、におい物質に慣れると、そのにおいを感じにくくなる特徴があります。自分のにおいを感じにくいという感覚は、誰もが持っているでしょう。それは、そのにおいに気をとられると、周囲のにおいに気付きにくくなってしまうからです。むしろ嗅覚は、周囲の変化を敏感に察知するために発達したとも言えます。その意味では、一人一人に寄り添い続ける中で、香りの変化から心の変化を感じられるようになることは、十分に考えられるのではないでしょうか。次ぐに耳についてですが、訓練を重ねた音楽家は、わずかな音の違いも、1000分の1秒の音のずれも聞き分けられるそうですが、聴覚も嗅覚と同じように鍛えられることが分かっています。さらに人間の聴覚は、雑音などで会話が聞きにくくても脳が音を補正し、必要な音を聞き分けることができるのが特徴です。つまり、聞きたいと思って集中した分、それが聞けるようになるのです。人それぞれ、声には、その時の微妙な心の変化が現れますが、そうしたものも、感じ取れるようになっていくと思います。

 

動物は共通の感覚

私たちは眼や鼻、耳といった遠隔感覚の機能を使い、周囲の状況を認識していると述べましたが、逆にいえば、私たちが人々に影響を与えるのには、周囲の人が持つこれらの感覚に訴えることが大切です。生物学の観点でいえば、この世には、眼をもつものや持たないものなど、多種多様な動物が存在しますが、実は地球上に生きる動物が、遠隔感覚の中で共通して持っている感覚器官があります。それが耳なのです。ここでいう耳とは、聞くということではなく、平衡感覚の機能を持った器官のことです。全ての動物が平衡感覚を持つ理由は、地球に重力があるからです。この重力に対する傾きを感知することで、動物は前後左右、自分がどの方向に進んでいるかを感じ取っています。そして人間などが持つ耳は、この平行感覚器として生まれた耳に、進化の過程で音を感知する力が加わったものなのです。もちろん、人間の耳にも平行感覚器の役割があります。人間の耳にある蝸牛は液体で満たされていますが、その液体の傾きによって、私たちも耳で平行を感じ取っています。人間の耳について言えば、、例えば、生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声は、生まれた国の言語によって抑揚が微妙に違うことが分かっています。それは胎内にいるときから、周囲の声を感じ取っているからだと考えられています。また、死ぬ最期の瞬間まで活動するのも、聴覚だと考えられています。嗅覚は記憶と密接に結びついていますが、その嗅覚で感じた情報は、視覚で得られた情報よりも記憶に強く残ることが分かっています。鼻と耳の持つ力は、眼だけでは決して分からない人々の微妙な心を感じ取り、人々の絆を結んでいくものだと思います。