食の国際儀礼(プロトコル)について
国家間の外交だけではなく、民間の国際交流の様々な場面でも世界に通用する伝統的な国家間のマナーを国際儀礼(プロトコル)といいます。
特に近年は、文化、文明の多様性や、社会的少数者の立場への理解を積極的に示そうとする姿勢が支持されています。
たとえば食に関していえば、宗教ごとの教義や食規定、ベジタリアンへの配慮、さらにはなぜそのような規定があるのかを知っておくことが、パーティーなど食事をともにする場において重要な要素になっています。
国際儀礼の歴史
国際儀礼はフランスアンリ3世(1574~89)の時代にその礎が築かれたといわれております。ヨーロッパの他国から国賓を迎えるにあたっての外交官に必要な規則として用いられ、民主主義の台頭とともに国際的な交流の場で公平に物事が解決されるための国際間での公のルールとして成立しました。1814~1815年に行なわれた「ウイーン会議」において初めて、現在に続く、国家の集まりに必要な代表の資格、席次などの決めごとが発足しました。
そのマナーやエチケットは、ヨーロッパ社会の基礎になった古代ギリシャ文化の価値観やモラルが歳月をかけて熟成されたものであり、そのためプロトコルはヨーロッパ人(主にキリスト教圏)の価値観が主体となっています。
民間外交にも必要な国際儀礼
国際儀礼は日本の伝統礼法とともに、現代では外交官だけでなく、国際ビジネス場、個人の上級マナーとしても不可欠な要素です。外務省では、地方行政や民間企業にも国際儀礼が必要であるとして、「グローカル外交ネット」を設置して地方行政の国際的取り組みを支援しています。
外務省は国際儀礼について以下のようにウェブサイトに記しています。
「国際的な交流の場面では、歴史、文化、言語などの違いから、誤解や不信が生まれやすくなります。相手への敬意と全ての国を平等に扱うことを基本とする「プロトコル」は、無用な誤解や争いを避け、外交を円滑に進める環境作りのための知恵として生まれました。国と国、人と人との営みをスムーズにする、その場にいる人々がお互いを認め合い、心地良いコミュニケーションを図るための共通認識が、プロトコルなのです。
但し、プロトコルは必ずしも絶対的な規則ではなく、これまでも時代と共に変化しており、地域や国によって差異もみられます。また、会合の趣旨、参加者の認識、会場の制約などによって柔軟に運用されることも大切です。」
つまり、国際儀礼についての知識は大切でありますが、ケース・バイ・ケースで臨機応変に対応する心配りも必要、ということです。
プロトコルの基本概念
序列と平等 国の大小に関係なく平等に扱うこと
席次に準じた序列
紛争を避けるために誰もが納得するルールに従うこと
相互主義と異文化理解 我が国と相手国を同等に扱うこと
文化や宗教、習慣の違いを尊重すること
無用の誤解を避け、真の理解を促進するための環境を整える
こと
もてなしと気配り パーティー・エチケットを心得ること
宗教上のタブーとされる飲食は提供しないこと
送迎の気配りをすること
基本ルール 原則として上位(国旗の並び順、自動車の座席等)を守ること
女性や年長者を守ること