和食 茶懐石料理
懐石料理は、鎌倉時代から安土桃山時代にかけて茶道と結び付きながら原型が作られ、江戸時代に確立した料理で、茶懐石ともいう。
禅の影響を受けた茶道では、濃い抹茶をおいしく飲むために,空腹しのぎ程度の軽い食事を出すので、これを懐石料理という。
「懐石」
懐石には空腹を一時しのぐという意味がある。これはその昔、修行中の禅僧が
空腹と寒さをしのぐために暖めた医師(温石・薬石)を懐に入れたことに由来
懐石料理は茶を楽しむための料理で、茶会の主催者である亭主が客をもてなす料理
季節感を尊び、新鮮な材料を用い、不必要な飾りを廃し、食べやすく、できたてを
供することを旨とする。
献 立 構 成
① 向付 汁と飯に対して向こうに置くので向付という。
さしみやなます、こぶ締めなどが多い。
陶器の小鉢に盛り付けられる。
汁 会わせみそ仕立てのものを少量盛り付ける。
汁の実は精進物を用いる。
飯 3口くらいの白飯を横一文字や丸形、山形に盛る。
② 椀諸り 汁気の多い煮物の盛り合わせ。
③ 焼き物 季節の魚介を用いる。
陶磁器に5人分ずつ盛られる。
④ 箸洗い 口直しのための簡単な吸い物。
量は、ごく少量である。
小吸い物、一口吸い物ともいう。
⑤ 八寸 山海の珍味を2~3点用いる。
8寸(約24㎝)四方の杉板に盛られることから八寸と呼ばれる
5人分ずつ盛られる。
⑥ 強肴 進肴ともいう。「もう一献どうぞ」と、酒を勧めるために
出される料理。省略されることもある。
5人分ずつ盛られる。
⑦ 湯桶 お焦げに湯を注ぎ塩味を付けたお茶漬けのようなもの。
香の物 たくあんに季節のものを1~2品盛り合わせる。
⑧ 茶 濃茶が主に出される。
菓子 生菓子が主に出される。
以上が、茶懐石料理の献立構成である。
わび、さびの精神に基づいた簡素な献立である。
流派によって多少の違いはあるが、客と亭主の間には一定の約束ごと
があり、その食事作法にのっとり食べられる。
懐石料理には、折敷と呼ばれる一尺(約30㎝)四方の脚のない銘々膳が
用いられ、食器は、一般に黒塗りの椀だが、煮物や吸い物には他の塗り
や蒔絵のもの、焼き物鉢などには陶磁器を使用する。
料理によって箸が異なり、基本は杉の利休箸だが、取り回しする料理には
竹の取り箸を用いる。菓子には、黒文字をそえる。
利休箸 赤すぎで作られた箸で、中央がやや太く、両端が細くなっており
全体が丁寧に面取りされている。
黒文字 樹皮に黒い斑紋をもつクロモジの木を皮付きのまま削って作った
ようじのこと。
以前、京都まで茶懐石料理を習いに行ったが、このように色々な
決まりごとがあるとは、つゆ知らず、今思えば赤面することばかりです。