日本の主な郷土料理17
がん漬け
がんとはカ二がなまったものでかに漬けのこと。主に有明海でとれるシオマネキで
作られる保存食である。生きているカ二をよく洗い、うすでつぶし、粉末にした
とうがらしと塩を加えてかめなどに入れ、暗所で発酵させる。酒の肴に会う。
むつごろうの蒲焼き
有明海に生息するムツゴロウを用いたかば焼きのこと。ムツゴロウの口から竹串を
刺して素焼きにした後、しゅうゆ、酒、みりん、砂糖を煮詰めたたれをつけながら
繰り返し焼いたもの。
ふなのこぶ巻き
掘割やため池に生息するフナで作ったこぶ巻きのこと。地方によってはフナのこん
ぐい(またはこぐい)とも呼ぶ。寒ブナを用いる。胆嚢をを取ったフナをコンブで
巻き、レンコンや大根などの野菜類とともに、みそ、砂糖、水あめで調味し、骨が
やわらかくなるまでじっくり煮込む。おくんちのころによく作られる。
松浦漬け
呼子町の名物。かって捕鯨基地としてにぎわった呼子ならではのクジラを用いた
漬物。明治の半ばに考案されたもので、クジラの頭部の軟骨(かぶら骨)をみ
りんやトウガラシを入れた酒かすに漬け込んだもの。酒の肴として好まれる珍味
である。
大村ずし
大村地方に古くから伝わる伝統的なすし。戦国時代に領民が藩主の凱旋を祝って、
手持ちの材料でにわかに作った料理が起源といわれる。
普通より多めの砂糖を使った甘味のきいたすし飯に大村湾でとれる魚介類、野菜、
錦糸卵など多くの具をのせたすしで、祝い事に好んで作られる。すし枠にすし飯
を均等に詰め、その上に具を散らし、錦糸卵を一面にのせ、ふたをして重しをする
これを2~3段重ねにしてさらに豪華に盛り付けることもある。
皿に盛り付けるめん料理のこと。中華麺に煮立てたスープ(鶏ガラと豚骨でとる)
をかけ、水気を切った後、油で揚げるかラードで炒めて皿に盛る。豚肉やえび、か
き、いかなどの魚介類、野菜類など多数の具を短冊に切ってラードで炒め、スープ
を加え、味を調えて片栗粉でとろみをつけ、めんの上に盛る。
島原地方の雑煮。1637年(寛永14)に起きた島原の乱で原城に籠城した一揆軍が、
兵糧として持ち込んだもちで作ったのが起源とされている。
具が大変多い雑煮である。鶏肉、あなご、練り製品、練り豆腐、卵焼き、しいた
け、やまのいも、春菊、れんこん、ごぼうなどのほか、好みの材料を具に用いる。
ちゃんぽん
具だくさんの麺料理。豚肉やいか、えび、かきなどの魚介類、たまねぎ、にんじん
きゃべつなどの野菜類十種類を短冊に切り、たっぷりのラードで炒め、豚の骨と
鶏ガラでとったスープを加えて味を調える。ちゃんぽん用の中華めんを入れて少し
煮立て、どんぶりに盛る。
からすみ
ボラの卵巣の乾燥品。形が中国製の良質な墨である唐墨に似ていることからこの名
がある。10~11月にとれるボラの成魚の卵巣を水洗いし、血抜き後、塩漬けして
から清水に浸して塩抜きする。これを昼は天日乾燥、夜は板の間に挟んで軽く加圧
形成し、約2週間で製品とする。長崎産のものが有名で、江戸時代には越前のウニ
三河のこのわたとともに天下の三名珍といわれた。形が整い薄いあめ色をした光沢
のあるものが良品。形の大きい台湾産もあるが、品質が落ちる。値段が高いので、
サワラなどで作ったコピー食品も出回っている。
薄皮をむいてそぎ切りにし、そのまま軽くあぶって食べる。